こんにちは、さいちょうです。
「自分が自分じゃない感覚」
私は過去に、重度の鬱とパニック障害を経験しました。
その過程で苦しんだのが「離人感」です。
鏡にうつる人物が自分という事実に妙な違和感を感じ、自分の体がロボットになったみたいで、現実感がまるでない。
美しい景色も、おいしい食事も、何の意味もなさない・・・
でも、大丈夫。
そんな私でも、今ではうつ病もパニック障害も克服し、しっかりと現実感を取り戻すことができたんです。
それどころか・・・
鬱やパニックを経験する前よりも、はるかに「生きている実感」がある。
だから君も、大丈夫。
この記事を最後まで読むと、「離人感」の正体と正しい対処法がわかります。
離人感の正体
まっすぐに腕をのばした状態で、親指を立ててみてください。
爪のあたりを見つめた状態で、そのままゆっくりと顔の前まで移動させます。
親指以外の景色が、くもりガラスのようにぼんやりとかすんでいくのを確認できたでしょうか?
今あなたが見つめているのは、目の前にある親指の先です。
何かを注視すれば、それ以外の景色はぼやけていく。
人間の体は、そうできているんだ。
うつ病やパニック障害など、精神的に不調になると、私たちは不安のあまり、自分の内面ばかり注視せざるをえない状況に向かいます。
僕、今不安を感じてるんじゃないかな?
僕、今パニックになりそうなんじゃないかな?
僕、なんだか現実感がない気がする!
自分の内側を注視し続ければ当然、自分の外側の世界はかすんでいく。
ただ、それだけのことなんです。
自分が自分じゃない感覚は、自分自身の「ゲシュタルト崩壊」にすぎないのさ。
「自分はおかしくなってしまった」
そうあせればあせるほど、内面への注視に拍車がかかり、離人感は強まっていく。抜けだせなくなっていく。
大丈夫。
あなたは正常なんです。
離人感はさっきの親指と同じで、なにも心配する必要はないんだよ。
まずは、人間の正しい反応にすぎない「離人感の正体」を理解することからはじめよう。
否定の排除
ここで、重大な注意点があります。
不安になっちゃいけない・・・
パニックになっちゃいけない・・・
内面を注視しちゃいけない・・・
わきあがるあなた自身の感情を、否定しないでください。
「〇〇しちゃいけない」と考えている時点で、すでに〇〇について考えているのだから。
感情から目をそらすのは、自分めがけて飛んでくるボールを永遠に避けつづけるようなもの。
これではいずれ疲弊して、立ち上がれなくなってしまうんだ。
怖がらなくて、大丈夫。
自分は今、不安を感じているんだなぁ。
自分は今、パニックを感じているんだなぁ。
自分は今、内面を注視したがってるんだなぁ。
わきあがる感情は「あるがままに」受け止めてあげてください。
ボールは、キャッチしなければ投げることはできません。
不安も、受け止めなければ、流すことはできません。
あなた自身の感情に、満足いくまで、納得いくまで、あきるほどに付き合ってあげてください。
恐怖の正体から目をそらせばそらすほど、不安は大きくなっていく。
後ろから足音が・・・誰かにつけられてる?突然刺されたら?オバケだったら?
勇気をふりしぼり、恐怖の正体を確認することで、不安は溶けていく。
・・・ホッ!なんだ、猫かぁ。
感情の否定は、出口のない不安への入り口です。
わきあがる素直な感情を否定せず、あるがままに受け止めることこそが、現実感を取り戻す第一歩となるのです。
向きの転換
あなたの内側の感情をしっかりと受け止めてあげたあとには・・・
いよいよ現実感を取り戻す(=外側の世界に目を向ける)ステップです。
体の外側にあるものに、意識を向けてみてください。
目の前にひろがる世界。
皮膚をさすような夏の日差し。心地よい風。深まった自然の緑。腰をかけたシートの感触。かすかに香るパン屋の匂い。
目の前にいる人。
何をしているんだろう。重たい荷物を持っているな。困っているのかな。声をかけてみようか。あいさつしてみようか。
目の前に置かれたタスク。
今晩の食事の準備。そのための買い出し。本屋でのレシピ本さがし。必要な手続きのための書類作成。そのための調べもの。
自分の外側にある「目の前のもの」に、エネルギーを向けてみてください。
私が「親指の先を見つめたまま顔の前へ」とお願いしたとき、実際にためしてくれたあなたならわかるはず。
親指をえーっと・・・これで合ってるのかな?
外側の世界に意識が集中している瞬間、私たちは不安を感じられないのです。
外側に注力する時間が増えるにつれて、現実は次第に色を取り戻し、離人感を意識することすらなくなっていく。
目の前にいる人は、どうしたらもっと笑ってくれるだろうか?
目の前にあるタスクは、どうしたらもっとうまくこなせるだろうか?
目の前にある自然は、どうしてこんなにも美しいのだろうか?
世の中は、見どころ満載だ~!
内側の感情を受け止めたまま、外側の世界に目を向けよう。
外側の世界には、山積みになったタスクがあなたの注目を待っています。
視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
あますことなく使っていきましょう。
私たちに与えられた五感は、外側の世界をぞんぶんに味わうための贈り物なのだから。
最後まで耳を傾けてくれてありがとう!不安になったときは、いつでもまた会いにきてね。約束だよ。